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事業再構築補助金の概要が発表されました。

ウィズコロナ時代を生きぬく事業者のための新しい補助金についての概要が発表されました。
新しい補助金のため、詳細についてはまだ不明な点も多くありますが、申請を考えていらっしゃる方は今から準備しておくに越したことはありません。

『事業再構築補助金』について、現時点でわかっていることについて確認しながら、どのように準備を進めていけばいいかを一緒に考えていきましょう。

事業の目的について

ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の思い切った事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。

コロナの影響で厳しい状況にある中小企業、中堅企業、個人事業主、企業組合等を対象とします。申請後、審査委員が審査の上、予算の範囲内で採択します。

ガイドラインには上記のように簡単に目的が記載されていますが、これだけではなんのことかさっぱりわからないと思いますので、簡単にかみ砕いて解説します。

①コロナで売り上げが減少した事業を新たな手法に切り替えて営業する(業態転換)
 例:飲食店の営業を辞めて、オンライン注文のみの宅配弁当屋さんを新たに始める

②コロナで売り上げが減少した事業を一部縮小し、新たな分野へ参入する(新分野展開)
 例:航空機の部品を製造業を一部縮小して、医療機器部品製造を新たに始める

大きくこの2つのパターンを想定しているものと思われます。
要するに、既存事業がコロナによって重大なダメージを受けている事業者が、そのまま漫然と倒れるのを待つのではなく、ウィズコロナを見据えた事業展開にチェンジして攻めの姿勢で頑張ります!というケースに対して補助金を出しますよという感じでしょうか。

”既存事業がコロナによってダメージを受けていること”と、それにより、”新しい方法や分野へ事業を展開していくこと”が大切なので、どのような事業を行なっている人でも、この要件を満たすことが可能なら対象と言えそうです。

活用イメージとして中小企業庁は飲食店・製造業・小売業・サービス業・運輸業・建設業・情報処理業と多様な業種に対して使用可能であると謳っていますので、これら以外の方でも申請要件を満たしていて、しっかり事業計画が立てられるのであれば検討してみた方が良いでしょう。

申請要件について

申請に必要な要件は大きく分けて以下の3つのみです。

1.売上が減っている
申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1
~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している。

2.事業再構築に取り組む
事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行う。

3.認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する

1の売り上げの減少は、連続した3カ月でなくても良いということなので、合計売上高が10%以上減少している任意の3カ月があるかどうかをまずは確認しましょう。

確定ではありませんが、現時点では確定申告書類と売上台帳を疎明書類とする見込みなので、それらの資料を実際に見ながら間違いの無いように計算します。

2の事業再構築は、前項の目的で説明したとおり、新たな手法や分野に展開していく計画を立てる必要があり、具体的には以下の条件を満たす計画になってなければなりません。
・補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加
・または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成

付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものを指します。
つまり、営業利益が上がることだけを評価するのではなく、人件費が上がること(雇用が促進されている・従業員の給与が増えている)ことも評価されるし、会社に減価償却資産が増えることも評価するということですね。

そんな計画を自分だけで立てても根拠に乏しいので、しっかりとした事業計画を作るために3の認定経営革新等支援機関と事業計画を策定するという要件がここに関わってきます。

認定経営革新等支援機関というのは、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う経営革新等支援機関として認定された、税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人や法人を指します。

事業再構築補助金を申請するためには、認定経営革新等支援機関と事業計画を作成しなければならないので、以下のサイトから自分に合った認定経営革新等支援機関を探して連絡してみると良いでしょう。
https://ninteishien.force.com/NSK_CertificationArea

申請金額が3000万円を超える場合には金融機関も事業計画の作成に参画しなければならないとなっておりますので、3000万円以上の申請を予定されている方は、金融機関で認定経営革新等支援機関となっているところにお願いすると1か所で済むので手間も少なく話が早いです。

ちなみに、認定経営革新等支援機関に対する事業計画書作成費やコンサルフィーは補助対象外予定とのことです。
補助金をあてにしてむやみに高額な機関には依頼しないで、認定経営革新等支援機関を選ぶ際には、どの程度の報酬のお支払いが必要になるのかをしっかり確認しておいた方がいいでしょう。

補助額と補助率について

中小企業
通常枠: 補助額 100万円~6,000万円 補助率 2/3
卒業枠: 補助額 6,000万円超~1億円 補助率 2/3

中堅企業
通常枠: 補助額 100万円~8,000万円 補助率 1/2(4,000万円超は1/3)
グローバルV字回復枠: 補助額 8,000万円超~1億円 補助率 1/2

中小企業と中堅企業の違いは何かというと、大きくは資本金額と従業員数の違いです。
中小企業は一般的には資本金 1000万円以上1億円未満の会社で、中堅企業は 資本金 1億円以上10億円未満の会社を指します。
今回の申請において自分はどちらの枠になるのかについては、現時点ではまだ区分基準が発表されていませんので、公募要領の正式な発表を待ちましょう。

中小企業に設定された卒業枠とは、400社限定で設けられた特別枠のことです。
当該事業計画期間内に、①組織再編、②新規設備投資、③グローバル展開のいずれかにより、資本金又は従業員を増やし、中小企業から中堅企業へ成長する予定の事業者向けに設定されています。

簡単に言えば、あと一歩で中堅企業の仲間入りできる中小企業は、この事業再構築補助金を使って中堅企業に成ってくださいねという特別応援プランだと考えれば良いかと思います。

中堅企業に設定されたグローバルV字回復枠は、100社限定の特別枠です。
① 直前6か月間のうち任意の3か月の合計売上高がコロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して、15%以上減少していて、② 補助事業終了後3~5年で付加価値額又は従業員一人当たり付加価値額の年率5.0%以上増加を達成を見込む事業計画を策定し、③ グローバル展開を果たす事業である。
以上の3つに要件を全て満たすことが出来る中堅企業が申請することが出来ます。

卒業枠やグローバルV字回復枠で申請をして不採択となった時に通常枠で採択されることはないそうなので、通常枠で申請した方が良いか特別枠で申請した方が良いのかはしっかり考えて、戦略的に決定することをお薦めします。

また、緊急事態宣言特別枠というものも設定されています。(採択数に限りがあるとされているものの、具体的件数は現時点で発表無し)
こちらは、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことで、令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少している事業者が利用することが出来ます。

例えば大阪であれば特に緊急事態宣言の影響の大きかったキタとミナミの飲食店だけに留まらず、要件に合致すれば地域や業種は問わないとのことなので、積極的に狙っていってもいいかもしれません。
ただし、緊急事態宣言の影響を受けたことをどのように証明するのか?については業種によっては証明が難しいケースも多そうだなと思います。

こちらの緊急事態宣言特別枠は、特別枠として不採択になった場合でも通常枠で再審査してもらえるそうなので、卒業枠やグローバルV字回復枠と違って緊急事態宣言特別枠の要件に合致した対象者であるならばこっちの特別枠で申請しておけば良さそうですね。

補助対象経費について

本補助金は、基本的に設備投資を支援するものです。
設備費のほか、建物の建設費、建物改修費、撤去費、システム購入費も補助対象です。
新しい事業の開始に必要となる研修費、広告宣伝費・販売促進費も補助対象です。

【主要経費】
●建物費(建物の建築・改修に要する経費)、建物撤去費、設備費、システム購入費
【関連経費】
●外注費(製品開発に要する加工、設計等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)
●研修費(教育訓練費等)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)
●リース費、クラウドサービス費、専門家経費

現時点ではざっくりこのように発表されています。
あくまでもメインは設備投資で、そのついでに研修費や広告宣伝費・販売促進費も含めますよといった感じなので、広告宣伝費をメインに考えている方は今回の事業再構築補助金ではなく小規模事業者持続化補助金を申請した方が良いでしょう

リース費用は補助対象予定となっていますが、車やバイク等の車両購入費は補助対象外となっているので、事業に必要な車両は設備投資やないかー!と言いたい所ではありますが、ここは対象外であるということはしっかり認識しておきましょう。

例えば店舗販売を縮小してキッチンカー事業に乗り出そうとした場合、キッチンカー本体は車両購入になるので設備費として認められませんが、購入したキッチンカーに設置する設備費は補助に含まれる可能性があると現時点では言われているので、一旦空っぽの安いキッチンカーを自費で買って、そこに備え付ける設備は補助事業の中で設置していくという流れになりそうですね。

また同じルールで、不動産そのものの購入は補助対象外ですが、店舗の改修や撤去費用は補助対象となるようです。
ここは応募要領が発表されたら詳細を確認して、間違いの無い申請が出来るように色んなパターンでの設備投資を考えておいた方が良さそうですね。

補助対象外の費用として現時点で明確にされているものは以下になります。

補助対象企業の従業員の人件費、従業員の旅費
不動産、株式、公道を走る車両、汎用品(パソコン、スマートフォン、家具等)の購入費
販売する商品の原材料費、消耗品費、光熱水費、通信費

以上の内容を見ても分かるように、申請した補助事業のためだけにしか使わないと明確にわかる設備に関しては補助対象費、ただ個人や会社の財産が増えるだけという風に見えかねない設備は補助費の対象外、また、通常の経費に分類されるものも補助費の対象外というような感覚で想定しておけばよいと思います。

事業計画の策定で気を付けること

採択されるためには、合理的で説得力のある事業計画を策定することが必要です。
事業計画は、認定経営革新等支援機関と相談しつつ策定してください。
認定経営革新等支援機関には、事業実施段階でのアドバイスやフォローアップも期待されています。

具体的な審査項目は公募要領に掲載予定です。
事業化に向けた計画の妥当性、再構築の必要性、地域経済への貢献、イノベーションの促進などが審査項目となる可能性があります。

というわけで、こちらもまだ具体的なことは発表されていません。
一般的に事業計画を策定する上で必要とされる、客観的に見て合理性のあるものを認定経営革新等支援機関と作ってくださいねということですね。
その他の計画書に書くべきポイントとしては以下の項目が挙げられています。

①現在の事業の強みや弱みや脅威、事業を取り巻く環境を基にした事業再構築の必要性
②事業再構築の具体的な取り組み内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)
③新規参入しようとしている市場の状況や自社の優位性、価格設定、課題やリスクとその解決法
④実現可能な実施体制とスケジュール、事業に必要な資金調達計画と予定されている収益計画(付加価値増加を含む)

とはいえこれらも補助金申請の事業計画策定にはもともと必要なポイントばかりなので、事業再構築補助金なれではの特別な審査項目があるのかないのか、公募要領が発表され次第要チェックすべき大事なポイントですね。

補助金が支払われるまでの流れ

補助金は、事業者による支出を確認した後に支払われます。
概算払制度を設ける予定ですが、補助金交付要綱等に基づき、使途はしっかりと確認することとなります。

補助事業終了後5年間、経営状況等について、年次報告が必要です。
補助金で購入した設備等は、補助金交付要綱等に沿って厳格に管理することとなります。

補助金が支払われるのは、申請した事業が提出した事業計画に基づいて適正に行われた後にその報告を行なって、適正に事業が行なわれたと認められてから償還払いされます。

つまり、一旦自己資金で全額負担しなければならないので、自己資金が全くない状態で補助金事業を行なうことは出来ません。
ここは勘違いされている事業者さまが多いので、ここは特にしっかり心に留めておいてください。

事業再構築補助金は承認された場合は事前着手承認制度も使えると言われておりますが、あくまでも原則は交付決定後に行なった事業に対する補助です。
採択されることを見越して先に支出を行なっても、補助金の申請がそもそも不採択になってはどうしようもありません。

運よく採択されたとしても現時点では詳細が発表されていないため、結果として事前着手の支出として認められない物や方法だった場合は結局その支出は本件補助金事業の事前着手として承認されない可能性もあります。
よっぽどの事情が無い限りはこの方法は使わないことを強くお勧めします。

また、申請した内容ではない用途での支出は認められませんので、その分の費用は減額して支給されるか、悪質であった場合は不正申請として罰則が適用されることもあります。
使いみちがかなり限定されるので、多めの金額で申請しておいてあとで辻褄を合わせようというような融通はききません。

補助金はとりあえずもらえそうだから申請しておこうというノリで使うものではなく、本当にやりたい事業があって、そこに使える補助金があるなら最大限利用してより良い事業を行なおうといった趣旨のものであるということです。

その他の情報について

『他の補助金が採択されているときにこの事業再構築補助金の申請は出来るのか?』というのは、既にものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金で採択されている事業者さまにとってはかなり気になるところだと思います。

結論から言えば、内容が異なる別の事業であれば同じ事業者が異なる補助金を受けることは可能とのことです。
同一の事業で複数の補助金を受けることはできないので、既に採択されている事業とは全く違う新規事業で申請してください。

他の補助金とは事業内容が変われば重ね申請OKだからといって、事業再構築補助金自体を何度も受けることは当然ながらできません。
新たに始めたい事業がいくつかある場合は、どの補助金でどの事業を申請するかというところもしっかり考えて計画的に申請しましょう。

『2つ以上の事業を新たに始める予定のとき、1回の応募申請で2つの事業を同時に申請して良いか?』という気になる点についても以下のような内容で回答が出ていました。

事業計画書の中で複数の計画を記載することは可能ですが、事業再構築補助金を複数回受けることはできません。
つまり、申請そのものを2本走らせることは出来ないけど、1つの申請の中で2つ以上の事業計画が盛り込まれている分にはOKですよということですね。

事業の1つ1つはそこまで大掛かりではないのだけれど組み合わせることによって効果が大きくなり、費用もその分大きくなるような場合においては事業プランAとBを1つの申請の事業計画の中に盛り込んでしまうのが良さそうです。

事前準備しておくべきこと

事業計画を認定経営革新等支援機関と作成するための、認定経営革新等支援機関の選定と事業計画案についての相談は現時点から始めておいた方がいいでしょう。
採択されるかされないかは、どれだけ良い事業計画が作られているかによるものが強く、運で決まるものではありません。

現時点で頭の中にある新規事業のアイデアをより良いものにブラッシュアップしていくためには、認定経営革新等支援機関との密な連携は欠かせず、事業者さま自身も納得できるように思想を共有した上で、更に効果を高めるためのアドバイスを受ける必要があります。
そのためにはどれだけ早めに相談を始めても早すぎるということはありません。

申請をするための『GビズID』を今から申請して取得しておきましょう。

補助金の申請は事業者自身で行なわなくてはなりません。
事業再構築補助金の申請は、jGrants(電子申請システム)での受付を予定しているようなので、事前のID取得をお勧めします。

GビズIDプライムアカウントの発行は、以下のホームページで必要事項を記載し、必要書類を郵送することで作成できます。
GビズIDお申し込みはこちらから ⇒ https://gbiz-id.go.jp/top/
ID発行まで2~3週間要する場合もあるそうなので、いざという時に間に合わないということがないよう、早めに申請しておきましょう。

⇓⇓電子申請について不明な点等のお問合せはこちらです⇓⇓
事業再構築補助金のコールセンター(現在はまだ解説されていませんが、今後開設予定だそうです)
「GビズID」ヘルプデスク 0570-023-797
「Jグランツ」経済産業省問合せ窓口 mail:jgrants@meti.go.jp

⇓⇓事業再構築補助金に関する質問はこちらです⇓⇓
中小企業等事業再構築促進事業用質問フォーム ⇒ https://mm-enquete-cnt.meti.go.jp/form/pub/keieisien02/saikouchiku

こちらは質問に対する個別回答は行なっていないそうですが、多く寄せられた質問に関してはQ&Aの方で回答を出してくれるそうなので、気になることはどんどん質問を送ってみてもいいかもしれませんね。