德留行政書士事務所では、自動車登録業務を行なっています。
基本的にはディーラーさんから業務を承っているのですが、時には相続や結婚によって自動車の名義を変更する際や、法人移転に伴う変更が必要になる事業者さん等、ディーラーさん以外からのご依頼もあります。
その際、自動車を登録する時に必要な手数料や税金について案外知られていないことが多いので、今回は自動車登録の際に必要な税金について簡単に解説したいと思います。
自動車を購入する際や、既存の車を行政書士に変更依頼をしたら、なんだかやたらと税金って書いてあって一体これってなんなの!?と思った方に読んでいただければと思います。
車を1度でも購入したことのある方は既にご存知かと思いますが、2019年9月30日まで、車には消費税以外にも3つの税がかけられていました。
まずはそれらを1つずつ簡単に説明していきます。
自動車税
自動車税は、ナンバープレートの付いた車全てに対して発生する税金(地方税)で、ナンバープレートが交付されている車であれば、日ごろから使用していようと車庫に何年も眠らせていようと納税義務が発生します。
税率は、『用途(自家用自動車、事業用自動車、特殊な用途など)』、『総排気量』、『総積載量及び乗車定員等』に応じて定められています。
事業用自動車(緑のナンバープレート)や8ナンバーの車(キャンピングカーは除く)は低めの税額になっている一方で、自家用自動車(白ナンバーの乗用車)は特に税率が高額になっています。
大阪府の自動車税率表はこちらをご参照ください。 → 自動車税率表(自家用)
これだけ読んでもいまいちピンとこない方もいらっしゃると思います。
そういう時、私はこう覚えてくださいと言うようにしています。
「自動車税は、空気汚してごめんね税です」
総排気量が多い車はたくさん空気を汚すので税金が高い。
事業用自動車等で世の中の利益のために走っているわけでもない自家用自動車は無駄に空気を汚すので税金が高い。
だから、空気汚してごめんね税。
少々ざっくりしたくくりではありますが、かなりスッキリ理解が進むと思います。
また、自動車税及び軽自動車税には、『グリーン化特例』というかなりざっくり言うと低公害車を減税または古い車等を重課税するという措置もあります。
排出ガス及び燃費性能の優れた低公害車を性能に応じて税を軽減し、新車新規登録等から一定の年数(ガソリン車で13年、ディーゼル車で11年)を経過した乗用自動車(事業用乗合バスを除く)の税率を重課、貨物自動車も重課する特例措置です。
低公害車は空気をあまり汚さないので税を軽く、古い車は空気を汚すので税を重く、貨物自動車も空気を汚すので税を重くする。
簡単に解釈すると「グリーン化特例は、空気汚さないなら安くするし空気汚すなら高くするよ特例です」
自動車取得税
自動車取得税は、自動車を購入したり譲り受けたりしたときにかかる税金(地方税)で、納税義務者は取得価額を課税標準として税額を計算し、都道府県に申告納付します。
税率は、軽自動車以外の自家用自動車は原則として取得価額の3%となっています。
この『取得価額』というのが少しややこしいので解説していきます。
恐らく文字を読んで想定されるのは、自動車を購入した時にかかった金額だと思うのですが、そうではありません。
車種・グレード・仕様ごとに定められた基準額に、新車時からの経過年数に応じた残価率を乗じた金額で、例えば自家用普通乗用車を新車で購入した場合、車両本体価格に0.9を乗じた金額が取得価額となります。
購入時の支払額ではなく定められた基準額から計算します。
また、車両購入時に一緒につけたオプションパーツ(カーナビ、アルミホイール、エアロパーツ等)の料金は取得価額に含まれます。
自動車取得税を抑えて自動車を購入したい場合は、これらのオプションパーツは購入後、後付けした方が良いでしょう。
ただし、後日後付けの作業工賃とどちらが安いのかは計算の必要があります。
個人的には二度手間も無駄ですし、工賃の方が高いと思います。
自動車を購入する時に消費税を支払うにも関わらず、さらに自動車取得税もかかることから、自動車取得税っていったいなんなの?という質問をたまに頂きますが、その時私はこう答えるようにしています。
「自動車取得税は、贅沢税です。」
自動車取得税はグレードの高い車ほど税金が高くなります。
つまり、良い車に乗れるんだったら税金も多く払いましょうねという風にざっくり理解してもらえばいいかなと思います。
その他、自動車取得税には、エコカー減税(排出ガス性能及び燃費性能に優れた自動車に対し、その性能に応じて、自動車重量税と自動車取得税を免税・軽減する)や、障がい者減免(身体障害者等が取得する自動車や、専ら身体障害者の通院等に使用する自動車の取得については都道府県条例により減免する)という制度もあります。
自動車重量税
自動車重量税は、検査自動車と届出軽自動車に対して課される税金(国税)で、自動車検査証の交付等を受ける者や、車両番号の指定を受ける者が納税義務者になります。
自動車を新車で購入した時や、継続検査や構造等変更検査(いわゆる車検)を受け、車検証または届出済証の交付を受ける際に納付します。
民間車検は自動車重量税が車検代に含まれていることが多く、その場合は車検業者が手続きを行なっています。
税率は、自家用乗用車の場合は車両の重さによって税額が変わります。
自動車重量税は、車両が重いほど税率が上がるので、「道路痛めつけ税」とざっくり覚えておいてください。
自動車重量税にもエコカー減税があり、対象となる車両であれば、そのランクに応じて減免があります。
自動車の税が変わった!
従来までは以上のような内容だった車にまつわる税ですが、2019年10月1日から自動車の税が大きく変わりました。
変わった内容は大きく3つです。
何がどのように変わったのか、先ほどまでの基礎を押さえていれば難しいことはありません。
一緒に見ていきましょう。
自動車税の税率の引き下げ。
自動車税は『自動車税(種別割)』に名称が変わりました。
2019年10月1日以降に初回新規登録を受けた自家用自動車の自動車税の税率が引き下がります。
1000cc以下なら4500円、6000cc超えなら1000円と、種別によって引き下がる税率は変わります。
つまり、空気をたくさん汚す車ほど税率は下がらないけど、そうでない車であればその段階に合わせて相応に引き下がったと理解していただければいいかと思います。
また、2019年9月30日までに初回新規登録を受けた自家用自動車の税率は従来通りです。
自動車取得税が廃止され、環境性能割の導入。
『自動車取得税』という名目の税金がなくなり、自動車の燃費性能などに応じて自動車購入時に支払う『環境性能割』という税金が導入されました。
環境性能割の税率は、自家用自動車の場合、取得価格×自動車の燃費性能等に応じて、自家用登録車は0~3%、営業用登録車及び軽自動車は0~2%です。
環境性能割は新車、中古車を問わずに対象となります。
環境性能割の臨時的な軽減。
2019年10月1日から2020年9月30日までの間に自家用自動車を購入した人は、環境性能割の税率が1%軽減されます。
この臨時的軽減には軽自動車も含まれます。
消費税増税前に自動車の購入を検討していたんだけど買えなかったという人は、この環境性能割の軽減期間中に購入を試みてはいかがでしょうか。
特例措置の見直し
車にまつわる税の変更に応じて、特例措置にも見直しが行なわれていました。
何がどのように変わっていたのか、これからどう変わっていくのかを見てみましょう。
エコカー減税の見直し
環境性能の高い自動車の税率を軽減していたエコカー減税ですが、2019年4月1日から9月30日までの間に購入した乗用車(登録車及び軽自動車)及びトラック・バスについて、取得時に発生する自動車取得税の軽減割合が見直されました。
また、自動車重量税のエコカー減税の割合も見直されています。
グリーン化特例の見直し
2021年4月以降に購入される自家用自動車(登録車、軽自動車)について、自動車税及び軽自動車税の税率を軽減する特例の適応対象が電気自動車に限定されます。
さいごに
2019年10月からの消費税増税に伴い、自動車に関する様々な税が変わりました。
これを機に、一度、自動車を取得するにはこれだけの税金が必要なのだなということを覚えておいても損はないのではないでしょうか。
行政書士は自動車登録に関する租税書類は扱うことが出来ますので、変更登録と一緒に自動車にまつわるわずらわしい手続きをワンストップで提供可能です。
当事務所では、相続やご結婚、事業所の移転などに伴う自動車の変更登録申請を承っております。
手続きが煩雑なので全部お任せしたい、自分で平日動けないという方は是非お問合せください。
[…] にまつわる税金についてのごく簡単な解説はこちらをご参照ください→『自動車にまつわる税について』 […]