建設業許可の更新

営業許可や業免許と言われるものの中には、一度とってしまえば許可要件を満たしている限りずっと使えるものと、定期的に更新申請が必要なものがあります。

建設業は5年毎に更新が必要な営業許可です。

この記事では建設業の営業許可の更新について解説してありますので、更新時期を控えてお困りの事業者様は参考の1つにしていただければと思います。

建設業許可更新申請の前に準備しておくこと

建設業許可の更新申請をする前に、まずは更新申請が問題なくできる状態になっているかどうかを確認しましょう。

具体的には、下記項目について確認してください。

  1. 決算変更届は全事業年度もれなく届け出ているか
  2. 届出の必要な項目に変更はないか(☆参照)
  3. 5%以上を保有する株主に変更はないか
  4. 健康保険等の加入状況に変更はないか
  5. 建設業の使用人数に変更はないか
  6. 定款の記載内容に変更はないか

決算変更届は5年分全て届出済みになっていなければ更新申請を行なうことはできません。
うっかりしていて未提出となっている事業年度はないか、しっかり確認をしましょう。

決算変更届について詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください ⇒ 『建設業決算変更届とは?』

変更届の届出が必要な項目について未提出のものがあれば、変更の届出を行わなければなりません。
許可の維持に必要な重大な項目について欠損があって許可要件を満たさなくなった場合は、その日から建設業許可を失っている状態ですので建設業の廃業届の提出が必要となります。

5%以上を保有する株主に変動があった場合は役員名簿を新しく現状に直した上で、該当する株主が増えた場合にはその方の調書を提出しなければなりません。

健康保険等の加入は許可上の義務となっています。
加入している保険に変更があったり、加入人数等に変動があった場合は現状の内容について届け出なければなりません。

建設業を行なう使用人に変動があれば、現状の人数について届け出なければなりません。
また、使用人は保険加入義務がありますので、全ての使用人が保険に加入していなければなりません。

変更届が必要のない項目についても、定款の記載内容に変更があった場合は定款の写しを提出しなければなりません。
定款の目的や決算日の変更は変更届は不要ですが、定款の内容が変わるのでうっかり提出忘れのないようにご注意ください。

☆変更届が必要な項目
14日以内の届出が必要⇒
経営管理責任者の変更・専任技術者の変更・令3に定める使用人の変更・役員等が欠格要件に該当した時
30日以内の届出が必要⇒
商号又は名称変更・資本金変更・営業所の変更・役員変更・支配人変更

建設業許可更新申請時に提出する書類

申請する内容は新規申請時とほぼ同じです。
新規申請時に申請した内容と現状に変更点が何もなければ、現在の建設業法上に則って正しく事業活動を行なえていることを、現在の申請書のフォーマットに記載していくだけです。

変更点がある場合はその内容について届出し、新たな部分について証明が必要であれば建設局が求める証明書類を揃えて更新申請を行なうことになります。

  1. 建設業許可申請書(省令様式第1号)
  2. 役員等の一覧表(省令様式第1号 別紙1)
  3. 営業所一覧表(省令様式第1号 別紙2(2))
  4. 専任技術者一覧表(省令様式第1号 別紙4)
  5. 誓約書(省令様式第6号)
  6. 登記されていないことの証明書(法務局発行)
    監査役を除く役員全員と令3の使用人が、成年被後見人及び被保佐人に該当しない旨の証明書
  7. 市町村の長の証明書(本籍地を所管する市町村役場)
    監査役を除く役員全員と令3の使用人が、成年被後見人又は被保佐人とみなされる者に該当せず、また、破産者で復権を得ないものに該当しない旨の証明書
  8. 常勤役員等証明書 (省令様式第7号)
  9. 常勤役員等略歴書(省令様式第7号 別紙)
  10. 常勤役員等及び補佐する者証明書(省令様式第7号の2)
  11. 常勤役員等及び補佐する者証明書略歴書(省令様式第7号の2 別紙)
  12. 健康保険等の加入状況(省令様式第7号の3)
  13. 健康保険等の加入状況確認書類
  14. 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表(省令様式第11号) ※変更があった場合
  15. 許可申請者の住所生年月日等に関する調書(省令様式第12号)
    監査役を除く法人の役員、顧問、相談役、総株主の議決権の100分の5以上を有する株主、出資の総額の100分の5以上に相当する出資をしている個人、その他役員と同等以上の支配力を有する者全員分
  16. 令3使用人の住所生年月日等に関する調書(省令様式第13号) ※変更があった場合
  17. 商業登記簿謄本(法務局発行) ※変更があった場合
  18. 定款の写し ※変更があった場合
  19. 株主(出資者)調書(省令様式第14号) ※変更があった場合
  20. 営業の沿革(省令様式第20号)
  21. 所属建設業者団体(省令様式第20号の2) ※変更があった場合
  22. 主要取引金融機関名(省令様式第20号の3) ※変更があった場合
  23. 申請書類の表紙1閲覧書類用)
  24. 申請書類の表紙2非閲覧書類用

建設業許可更新時に気をつける事

ここまでお読み頂いて勘の良い方はお気づきになったかもしれませんが、更新申請時に確認しておかなければならないことや、変更があったかどうかを確認した上で申請しなければならないことは、毎年事業年度が終了した毎に提出する『決算変更届』の時に確認する項目とほぼ同じです。

このことからも、決算変更届を毎年適正に行なうことが建設業の許可を維持していくためにどれほど大事なことであるかがご理解いただけるかと思います。

特に『建設業許可更新申請の前に準備しておくこと』の項目で少し触れましたが、許可の維持に必要な重大な項目について欠損があって許可要件を満たさなくなった場合は建設業許可を失ってしまうという大変な事態になってしまいます。

建設業許可は要件を満たさなくなった日から建設業許可業者としての活動は出来なくなりますので、「実は今こういう状態なんです」となってしまった時にはもうアウトです。

そんなことにならないように、常日頃から自社の許可状況を把握し、法改正も含めた現在の建設業の許可要件を熟知し、建設業法を学び継続的に事業を行なうために計画的に人員等を準備しておかなければなりません。

本業が忙しくてそんなことまで手が回らないという方は、外部ブレインとして建設業の専門家である行政書士に許可の管理と手続きを任せてしまうことをオススメいたします。

法律や書類に関する勉強は専門家である行政書士に任せて、事業者様は専門家として建設業に専念して日本経済を大きく動かしていっていただければと思います。