就農という言葉を最近よく耳にするようになりました。
企業や若い個人事業主たちが新しい事業として農業に参入するというケースが増えているようです。
今回は異業種から就農してみたいなと思った方が、最初に何を気を付ければ良いかについてごくごく簡単にまとめてみます。
許認可は必要かどうか?
まず最初に確認しなければならないのは、農作物を販売するのに許認可等が必要かどうかということです。
許認可等が必要なものであれば、申請するために必要な『人・物・お金』を揃えるところから始めなければなりません。
法人を設立してから事業を行おうと思っているのであれば、許認可が必要な事業の場合、定款の目的に必ず記載しなければならない文言が決まっている場合もありますので、はじめに確認しておきましょう。
結論から申し上げますと、自分の田畑やハウスにて栽培した農作物をそのままの状態で販売をする場合には許認可は必要ありません。
契約農家さんの農作物をそのまま販売する場合にも必要な許可はありません。
ex)ハウスで栽培したイチゴをパックに詰めて販売するだけの場合等
許認可や届出が必要となるのは農作物を加工して販売する場合のみとなります。
加工製造販売する場合に必要な許可や届出って何?
そもそも加工販売ってどういうことかピンときていない方もいらっしゃるかもしれません。
例えば、ハウスで栽培したイチゴをジャムに加工して販売する場合や、畑でとれた白菜をお漬物に加工して販売する場合等のことを指します。
農作物をそのまま販売するのでなく、加工・製造して販売する場合、管轄の保健所に対して『どのような素材を使って、どのように加工するのか?』という点を基準にどのような許可申請や届出を行なうべきかを確認する必要があります。
例えば先ほどの苺ジャムの場合でしたら、『①イチゴを使って、②ジャムを作りたい』ということを製造販売する場所を管轄する保健所に伝え、必要な許可や届出について確認しましょう。
※加工する農作物や加工工程によって必要な手続きが変わります
農作物の加工製造関係の許可申請等をする際には、『食品衛生責任者』の設置が必要となります。
食品衛生責任者になるには要件がありますので、資格者を雇用するか、計画的に講習会を受講をしてください。
<食品衛生責任者の資格要件(次のいずれかの資格を有する者)>
・調理師、製菓衛生師、栄養士等
・食品衛生責任者養成講習会を受講した者
HACCPについて学ぼう
食品等の取扱いに従事する者の数が50人未満の小規模な製造・加工等の事業場では、『HACCPの考え方を取り入れた衛生管理』を行なうことが義務付けられました。
厚生労働省ホームページに記載されているそれぞれの業種や規模に応じた手引書に基づいて衛生管理計画を作成したうえで、毎日の衛生管理の実施や記録の作成・保存を行なうことが必要となります。
手引書についてはこちらからご自身の業種に適合するものをご参照ください ⇒ 『HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書』
表示について学ぼう
営業許可等が不要な食品であっても、出荷する加工品には『適法な表示』が必要です。
食品の容器・包装の見えやすい場所に必要事項を記載しなければなりません。
表示すべき内容は食品の種類によって異なりますが、主に下記のような項目が求められます。
- 名称
- 消費期限又は賞味期限
- 製造所所在地
- 製造者氏名
- 保存方法
- アレルギー物質
- 添加物表示
自社の商品にどのような表示が必要かは管轄する保健所にてしっかりご確認の上、適正なラベルの作成を行ないましょう。
電子申請が可能になりました!
改正食品衛生法の施行に合わせて、令和3年6月1日より食品営業許可等の申請手続きが食品衛生申請等システムにおいてオンライン申請できるようになりました。
大阪府内の保健所で申請する場合は、従来通りの紙による窓口申請や郵送による申請も可能です。
管轄によって対応が異なる場合もありますので大阪府外の申請の場合は事前に申請方法を確認してください。
どんな申請等が必要か等、申請内容に関する問い合わせは今まで通りお近くの保健所又は営業施設を管轄する保健所へお問合せください。
システムの利用方法や操作方法に関するお問い合わせについては、事前に「よくあるご質問(FAQ)」をご確認の上で、それでも解決しない場合は食品衛生申請等システムのヘルプデスクへお問合せください。