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一般廃棄物と産業廃棄物の違い

一般廃棄物と産業廃棄物の違いがなんなのかってご存知でしょうか?
家庭ごみか産業ごみかってことでしょ?と思われた方、では、家庭ごみと産業ごみの違いって何だと思いますか?

わりとこの区分を誤解していたりあやふやなまま認識していらっしゃる方は多いのではないでしょうか。
行政書士になる前の私ももちろんちゃんと理解していなかったのですが、”許可上でのごみの区分”は一般的な常識とは違う考え方をするということをこの記事で解説してみたいと思います。

なんとなく、工場から出るごみや建設現場から出るごみは産業廃棄物だよねというのはイメージとしてあると思います。
みなさんのその認識と許可上の考え方も相違はありません。

でもこれって、工場や建設現場から出るごみは化学薬品であったりとかなんか特殊なごみだから産業廃棄物なんじゃないの?という認識をなんとなくしていると思います。

では一度考えていただきたいのですが、例えば士業事務所で出るごみは産業廃棄物でしょうか?
一般家庭よりも量が多いだけで、基本的にはごみの内容はほとんどが紙で、それ以外ではお茶やお菓子等の飲食後のごみです。
一般家庭から出るごみと変わりないと思いませんか?

例えば飲食店から出るごみはどうでしょう?
ほとんどは廃棄食品やその包装容器で、これらも量が多いだけで一般家庭のごみと内容としては変わらないですよね。
これらは産業廃棄物ではないけれど、企業から出たごみだから扱いが違う。

こういう風に考えていくとだんだんごみの概念がわからなくなってきませんか?
私は収集運搬の許可の仕事に携わりだした当初、こういうことを延々と考えて、「一般ごみと産業ごみの違いって一体なんなんだ・・・」と、めちゃくちゃ混乱しました。

 

 

おおまかな判断基準

まず最初に断っておきたいのは、自分が運ぼうとしているものが一般廃棄物か産業廃棄物かは個別事例毎に細かく判断していくべきことなので一概にこれは一般廃棄物、これは産業廃棄物、と簡単にわけることは出来ません。

地域によって条例による別の定めがあるケースもありますし、正式な判断は管轄する都道府県や市町村に必ず確認するようにしてください。

今回は具体例がない状況、例えばビジネスモデルを考えている段階等において、自分がやろうとしていることはどういうことなのかをわかりやすくするために、ざっくりとしたごみに対する考え方を書いておきます。

『どんな場所から』『誰の依頼を受けて』『どんなゴミを』『どこに運ぶのか』

この4つが大きな判断基準となってきますので、判断に迷った時はまずはこれらを1つずつ切り分けてどちらに該当するかを考えてみましょう。
特に判断しやすいのは『どんな場所から』『誰の依頼を受けて』この2つです。

 

どんな場所からごみを運ぶのか?

どこから出たごみなのか?というのは一番大きな基準になります。
一般家庭から出たごみであれば家庭系ごみと言われ一般廃棄物に分類され、企業から出たごみはその企業が行なう事業やごみの内容によって一般的には事業系一般廃棄物と事業系産業廃棄物に分類されます。

家庭系ごみと事業系一般廃棄物はどちらも最終的には一般廃棄物として処理をし、事業系産業廃棄物は産業廃棄物として処理をすることになります。
ややこしいのは、賃貸物件等で住民の方が家財道具やごみの一切をそのままにして夜逃げなどしてしまった場合です。

この所有者が勝手に置いていってしまったものを『残置物(ざんちぶつ)』と呼ぶのですが、残置物を撤去する際のごみは一般廃棄物になるのか、産業廃棄物になるのか?という問題です。

 

誰の依頼を受けて処理するのか?

残置物を撤去する際のごみが一般廃棄物になるのか産業廃棄物になるのかは、誰からの依頼によってそのごみを処分するのか?というのが次の判断基準になります。

処理を依頼するのが、そのごみの所有者の身内の方等であった場合は、家庭系ごみ扱いで一般廃棄物として処理される可能性が高いです。

しかし、身寄りがない方の場合等で、所有者につながる方がいないので仕方ないから管理会社にて撤去しましょうとなった場合、これはその管理会社の事業活動によって排出されたごみとみなされ、産業廃棄物扱いになるケースがあります。

これはあくまでもややこしくなる事例のお話として残置物のお片付けを例にあげましたが、残置物の処理に関してはごみの区分以前に所有権の問題も複雑に絡み合うため、依頼してきた人がその残置物を処理する権限を持っているかどうかの確認も行なわなければならず、各自治体に細かい問い合わせが必要な複雑な問題であると認識しておいた方がいいでしょう。

 

どんなごみを運ぶのか?

産業廃棄物扱いとなるごみは、排出事業者の区分とそのごみの種類によって20種類のいずれかに明確に分けられていて、そのごみの種類に応じた収集運搬や処分に関する許可を持った事業者で無ければ取り扱うことができません。

産業廃棄物はこのように扱いが明確なのに対して、家庭系ごみは自治体にもよりますがそこまでしっかり分類されてはいません。
町内会やマンションの規約によって定められているごみの回収方法を確認すればわかりやすいでしょう。

衣類・古紙、プラスチック容器、空き缶などの資源ごみは普通ごみとは分けて回収されているケースが多いと思います。
これらはリサイクル可能なごみなので、適正にリサイクル業者に運ばれることになります。
ごみとして排出するものを出来るだけ減らしましょうという必要な努力ですね。

とはいえ、これらも汚れがひどければ普通ごみとして捨てても良い、30センチ以内のものであればプラスチック製のおもちゃは普通ごみとして捨てても良い等、厳密な取り扱いは要求されておらず産業廃棄物に比べれば随分ファジーな印象です。

どんなごみかを考える時に注意が必要なのは、いわゆる粗大ごみと言われるごみかと思います。
粗大ごみの定義は、『家庭の日常生活から出されるごみで、最大の辺または径が30センチメートルを超えるもの、あるいは棒状で1メートルを超えるもの』となっています。

粗大ごみは勝手に捨てることはできず、どんなサイズのどんな物を捨てるのかを粗大ごみ収集センターへ連絡し、料金を支払ってから決められた期日にごみを出しておくと回収業者が来てくれる流れになっています。

しかし、例えば全く同じ机を捨てる場合であっても、家庭から出た机は粗大ごみとして適正に処理されますが、企業から出た机は粗大ごみとして収集してもらうことは出来ません。
どんなごみか?よりも、どこから出たごみか?が重視されていることがこういう所からも読み取れるのではないでしょうか。

 

どこに運ぶのか?

それぞれのごみは、それぞれのごみに応じて適正な許可を持っている収集運搬事業者を介して、適正な許可を持っている処分場にて処理されなくてはなりません。

収集運搬事業を新たに行おうとしている人は、自分が取り扱う予定のごみについてしっかり知り、どの品目での許可が必要なのかを十分に検討しましょう。

また、その品目の許可をもっている処分場が商売をしようとしているエリアのどこにあって、どこが自社と取引をしてくれるかについても検討する必要があります。
適正な処分場との連携が無ければ、適正な事業は行なえません。

 

まとめ。

概要をわかりやすくするためにわかりやすい論点での判断基準だけをあげましたが、最初にもお伝えしましたとおり、ごみの世界は非常に複雑で様々な基準があり、それらを細かく照らし合わせて個別に判断していくものなので、勝手に判断できるものではありません。

管轄機関に細かく問合せをし、適正な取り扱いを行なわなければならないということは絶対に頭にいれておいてください。

この記事がごみに関わるお仕事をされようとしている方の参考に少しでもなれば幸いです。