当事務所では、もちろん離婚や男女問題、相続に関する案件も取り扱っておりますが、特に多いのは営業許可関連の業務です。
私自身が営業許可の仕事が好きだと公言しているせいかもしれませんが、福祉関係から運送、産廃まで、様々な営業許可のご相談をいただきます。
もちろん、ご相談頂いたことには誠心誠意お応えさせていただいておりますが、中には一度立ち止まって考えられた方がいいのでは?と思われる相談者様もいます。
その場合は差し出がましいようではありますが、一度じっくりお考え下さいと言って一旦お持ち帰りいただく場合もございます。
そこで今回はどの業種にでも当てはまる、営業許可をとろうと思った時に事前に用意しておくべきことについていくつか書いていきたいと思います。
■スケジュールの目処は立てていますか?
まず一番最初に立ち止まりがちなのがスケジュールの問題です。
年内に営業許可が欲しいんだ!と言われても、許可によっては受付期間が決まっているものや、事前予約、事前協議が必要なものも多くあり、そもそも年内に申請の受付が無い許可等もあります。
ギリギリで営業許可をとろうという発想はまずムリなんだと思ってください。
運よく受付期間に間に合ったとしても、その他の準備がしっかり整っている場合でなければだいたい本申請までに要件が整わずに見送りしなけれならなくなります。
ゆとりをもって、最低でも半年くらいはかかるものと考えておきましょう。
■人・物・金は揃っていますか?
どんな営業許可をとるにしても、最低限の人的要件、物的要件、金銭的要件はあります。
これら三つのうち、どれかひとつでも欠けていると許可はおりません。2つはあるけど1つが足りないという程度なら準備しながらなんとかなることもありますが、2つ以上欠けている場合は申請に進む段階に未だ立っていないと判断した方が良いでしょう。
急ごしらえでなんとか間に合わせただけの要件では、審査期間中に何がおこるかわかりません。
特に人的要件は資格保持者になんとか入ってもらおうとごり押しで入社いただいても、無理な給与を出す約束をすれば経営は困難になりますし、語り落としてしぶしぶ入社いただいても土壇場で相手の気が変わってしまうことだってあります。
申請に必要な要件というのは、その後、運営していくのに必要だから、その基礎として規定されているものです。
この足場がしっかりしていなければ、仮に許可が出ても経営をしている内にどこかに歪みが出てしまう可能性も考慮して、しっかりと整えていきましょう。
■収支予算は立てていますか?
「これから初めて行なう事業なんだから収支予算なんてわからないしそっちで作ってよ!」という方がちらほらいらっしゃるのですが、営業許可がとれたら実際に事業を行なうのはご本人様です。
ある程度の土台があって、それを綺麗にして欲しい場合や、詳細の抜けを確認して欲しいということであれば全く問題はないのですが、収支に関するどの数字もわからないというのであれば、残念ですが、その段階では経営は難しいと思います。
例えばお蕎麦屋さんを開こうと思った時に、お蕎麦を1枚いくらで販売するのか、お店を一ヵ月維持するのに必要な経費はいくらか、一日あたりに何枚のお蕎麦が売れれば損益分岐点に達するのか・・・そういった最低限のことがわからない状態でどのように経営していくのでしょう?
難しく考える必要はないんです。本当にその事業を行ないたいと考えているのであれば、どういった物が必要で、どのような経費がかかるのか、一人単価いくらぐらいの価格帯にするのか、一日の見込みお客様数は何人なのか、真剣に考えれば必ず見えてくると思います。
もちろんアドバイスやお手伝いはいたしますが、まずはご自分でどんなお店にしたいのかというところから数字を考えてみてはいかがでしょうか。
ここまで細かい項目について書いてみましたが、本当に難しく考える必要はないんです。
どんな会社にしたいのか、どんな事業内容にしたいのか、将来はどこまで展開していきたいと考えているのか、その事業を始めようと思ったきっかけを突き詰めて考えて、一番大きい目標と一番小さい目標とその間にあるいくつかの目的地を教えてくださればいいのです。
大きい目標だけでは足りませんが、目の前の目標だけしか教えて頂いていない場合にも、同時申請で許可がとれるものがあった場合などに、2度手間になって期間が長くかかってしまったり、追加の費用が必要になってしまったりする場合もございます。
こういう時ってどうするの?って思った時はぜひ気軽にご相談ください。
一緒に将来の目標の話をしましょう。