去年からずっといつになったら発表されるのかと待ち続けていたのですが、散々待たされた挙句に何もこんな時期に・・・と言わざるを得ないこのタイミングでのまさかの発表でした。
私と同じように募集を待ち望んでいた事業者さまは困惑されているのではないでしょうか。
コロナショックによりそもそも既存の幼稚園が春休み明けに登園を開始するのかしないのかも不安定な最中に、企業主導型保育事業の公募が始まりました。
とはいえ、どんな情勢であってもこの日のためにしっかり準備してきている事業者さまもいらっしゃると思いますので、今回の募集内容について簡単に見ていきたいと思います。
公募期間について
まずは肝心の公募期間についてみていきましょう。
1.募集期間(予定)
令和2年4月20日(月)~5月29日(金) 17時30分まで【期限厳守】
募集要項にはこう記載されてありました。
ここで気になるのは、募集期間(予定)って書いてあることでしょうか。
(予定)←余計なものがついているぞ・・・。
期限厳守なのに根本的なその期間が予定ということなので、とにかくマメにサイトはチェックしていきましょう。
コロナの影響もあり色んな事が不透明になってしまうのは仕方ないですからね。。。
次に注目したいのは締め切り時間が明確に決まっているということでしょうか。
企業主導型保育事業の申請はポータルサイト上での電子申請にて行われます。
入力している内に17時30分を超えたらもう一切受け付けませんよということですね。
そもそも締め切り日当日はアクセスが集中するため、繋がりにくくなったりする場合がありますので、17時30分と言わず5月28日までには申請を完了しているようにしておきましょう。
募集枠について
次に募集枠についてみていきます。
2.募集枠(施設定員数ベース)(予定)
2万人分程度
※ 全ての募集枠分について必ず助成を行うことを約束するものではなく、審査基準に基づき、下記4.審査手順により選定された事業者に対してのみ助成を行います。
このように記載されていました。
不正受給による取消し事業者が相次ぎ、助成についての内容の大幅な見直しがされ、虚偽申請や不正受給は絶対許さない!という気概がより強まっています。
そのため、仮に応募が2万人に満たない場合であったとしても全員に支給するわけではありませんよということをアピールしているのでしょう。
当然ながら、行政書士は不正申請には絶対に関わりません。
「とりあえずなんかええようにやってお金とれるだけとってよ」というようなお問合せを行政書士に対して行なわないようにお願いいたします。
そもそも不正受給は本人の利益にも絶対になりません。
真面目に事業を行ない、三方良しの状態でしっかりと豊かになっていける方法を一緒に探していきましょう。
申請の流れ
それでは申請の流れをざっと確認してみましょう。
①企業IDの登録⇒②電子申請⇒③補正等の通知⇒④補正対応⇒⑤助成決定通知
大きく分けるとこの5ステップとなっています。
どれも手続きの一つ一つはそんなに難しいことではないですが、申請内容がしっかりしていなければ助成は受けられませんので、全ての項目においてしっかりと整合性がとれていて、間違いの無いように入力していかなければなりません。
企業IDの登録
企業主導型保育事業の申請は電子申請にて行なうと書きましたが、電子申請を行なうためには、まずその申請者の登録(企業IDの登録)を行なわなければなりません。
申請者の登録は非常に簡単な以下の3ステップです。
①電子申請を行なうサイトに、メールアドレスを登録する。
②登録したメールアドレスに送られてきた内容に沿って本登録を行なう。
③登録したメールアドレスに登録完了のメールが届く。
本登録の内容も難しくはなく、画面の指示に従って申請者となる企業の基本情報の入力をし、パスワードを設定するだけとなっています。
ご注意いただきたいのは、登録には法人番号が必要となりますので、セッションタイムオーバーとならないように事前に13桁の法人番号をお確かめいただいてから手続きを行なっていただくようお願いいたします。
法人番号はこちらの国税庁のサイトで簡単に検索できます ⇒ 国税庁法人番号公表サイト
電子申請を行なう
企業IDの登録が完了したら、次はそのIDで電子申請システムにログインし、申請を行なっていきましょう。
ログインの際の企業IDは最初に登録したメールアドレスに、パスワードはID登録の際に設定したパスワードとなっていますので、そちらを入力してログインしてください。
ログインするとこのような画面になっています。
年度選択から今年度をお選びいただき、『運営費』か『整備費』かをお選びいただいて、1つずつ申請を行なっていきましょう。
運営費と整備費では根本的に助成される内容が異なりますので、自分がどちらについての申請を行なっているのか混同しないように気を付けてくださいね。
自分が申し込もうと思っている事業内容が助成の対象となっているかどうかについて、『助成対象等の確認』の項目で順番に入力していき、確認をとってから『助成申込』に移ります。
申込みの記入内容は、基本的な申請者の情報から始まり、保育施設についての事項、申し込みの金額や事業内容、収支予算書や所要額の調書など、運営費でも整備費でも、それぞれの事業計画とそれに伴う数字に関する内容を細かに記載していきます。
審査のキモとなる部分なので、申請内容については簡単ではありません。
全ての内容に整合性があって、事業内容と数字が理論的に成り立っている必要があります。
不足書類等の連絡と補正対応
申請が無事に終わり審査が始まると、後は基本的には天命を待つだけの状態です。
入力内容や申請書類に誤りや不備があれば確認の連絡が入りますので、そこで求められたことに対しての対応を追加でしていきます。
申請になんの不備も誤りもなく、審査官が読んで疑問に思う点も全くない完ぺきが申請がなされていれば補正を求める連絡もかかってきません。
前例のあまりない様なものや独自の内容が含まれていたりすると、最初に求められている基本書類とは別の説明書類や証明書類にあたるものを提出するよう求められたりする場合もございます。
その場合は、必要書類にそんなん書いてないやん!等と言わずにできる限り丁寧に対応していきましょう。
申請内容に不明点があれば評価は下がりますし、そもそもそれが解消されなければ審査対象から外されても仕方ありません。
後ろ暗いことが無いのであれば、開示するよう求められたものに関しては出来る限り素直に対応しておく方が圧倒的に話は早いです。
補正も全て終わり、審査が無事に完了すればあとは助成決定通知を待つだけです。
助成決定後の流れ
助成決定通知が届けば、その申請は採択されたということになりますので、次のステップに進まなければなりません。
こちらは整備費と運営費とでその後の手続きの流れが変わりますので、それぞれ別にして書いていきたいと思います。
整備費を申請した場合
最初に申請した内容に従って、概算交付申請を行ないます。
この段階ではまだ契約行為も行なっていませんし、あくまでも概算での申請となります。
当たり前ですが、ここで突然最初に申請したことと違う内容のものを書いたり、突然謎の支出を組み込んだりすることは出来ません。
あくまでも最初に申請した内容に沿って交付申請を行ないます。
こちらも、入力内容に不備や不明点があれば補正等をするよう求める連絡が入りますので、適宜クリアーしていきます。
ここで再度承認されれば、晴れて助成金が振り込まれます。
その後、工事を完了して正しく支払いも行なってから、『工事完了報告』を行ないます。
ここまでくればもう事業のための全ての整備は完了し、振込も完了しているので、どこにどれだけどのように支払いをしたのか、どのような内容の工事を行なったのか、等の詳しい報告を行ないます。
その完了報告を審査し、補正等があれば対応をし、問題なく承認されることになれば、概算と確定額との差額精算が行なわれ、助成額確定通知が届きます。
助成額決定通知はポータルサイトにも掲載されます。
運営費を申請した場合
整備費と大きく違うのは、助成決定後、毎月『概算交付申請と月次報告』を行なわなければならないということです。
運営に関する費用の助成なので毎月報告をするのは当然の話ではあるのですが、通常業務に加えて行なわなければならない大切な手続きですのでなかなか大変です。
毎月、最初に申請した内容に沿って正しく事業を運営し、その報告を正しく行ないます。
不明点があればご指摘が入りますので、その場合は補正しながら誰が見てもわかるような明朗会計の状態にしておきます。
審査が承認されればその月の助成金が振り込まれます。
毎月この報告業務をしっかり行なって、1期が終了したら『運営費の年度完了報告』申請をしなくてはなりません。
毎月ちゃんと報告したんだし、それでいいやん!ということにはなりませんので忘れずに行ないましょう。
年度完了報告の審査の承認をもって助成額が確定します。
つまり整備費と同じようにこの段階で、各月の助成額と確定額との差額精算を行ない、助成額確定通知が届くということです。
さいごに
助成金は支給決定通知が来ると途端に気が緩んでしまって、行なわなければならない報告がおざなりになったり、時間の経過とともに日々の業務に追われてどのような内容で申請していたのかを忘れてしまって申請した内容と違う運営をうっかりしそうになってしまうという人がいらっしゃいます。
助成金は、支給決定通知が来てからが申請書を作る時と同じぐらい面倒で大変なんだという意識を持って挑んだ方がいいでしょう。
細かい数字の管理が苦手だったり、詳細な報告書を作成するのは苦手だという人は最初から専門家である行政書士に任せてしまった方が安心です。
時々、申請だけ行政書士に頼んだけど、報告書ぐらい自分で出来ると思ってその部分は依頼しなかった。
結果、報告義務期間が近付いて何もできておらず慌てて行政書士にまた連絡する・・・という人も多数いらっしゃいます。
申請をした行政書士ならまだしもそれ以外の行政書士に、報告書だけいきなり期限的ゆとりも無い状態でご依頼をされましてもお引き受けすることが難しい場合もございます。
助成金の報告業務を正しく行なうためには、①本申請内容を読み込み、②現状の運営状況をヒアリングし、③必要な書類を精査する時間が必要です。
ここまで準備をしてからようやく、報告書を作成していくことが出来るようになるのです。
いい加減な報告書では支給決定の取り消しをされる場合もございますし、疑義が残る点については一部助成金を支給しないというようなことも起こります。
助成金は報告業務を完了して差額精算が終わるまで、ずっと気を抜いてはいけません。
人のお金で事業を支えてもらっているんだということを強く意識して、有意義に使っていきましょう!