建設業の許可をとろうと思ったら

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500万円以上を超える工事を行なう場合は建設業の許可がいるらしい。

ここまではもうご存知の方も多くいらっしゃいますが、では自分はいったいどんな許可をとればいいのか、ということについてはイマイチわからないという相談をよくお受けしますので、今日は許可の基本的な項目についてざっくりと書いてみたいと思います。

「似たようなことをしている会社で許可が無くても営業しているところがあるから自分も大丈夫なんじゃないの?」
最初にお話をさせていただいた時に、こういう声をよく聞きます。
当たり前のことですが、似たような会社であっても内情はそれぞれ違いますし、外から見ただけでは内部のことはわかりません。

自分は建設業の許可を取得する必要性があるのかどうかについて、判断に迷った時は『必要かもしれない』とまずは一旦考えていただきたいです。

必要かもしれないと思って確認してみたけど必要無かったということであれば、問題も起こりませんし胸を張って営業出来ますよね。

しかし、必要ないだろうという考えでどんどん仕事をしてしまって実は許可が必要な事業だったとなれば、無許可営業をしていたことになってしまいます。
無許可営業をしてしまったら知らなかったでは済まされませんし、会社が受ける被害も甚大です。

教習所でも習いましたよね。
『だろう運転』ではなく、『かもしれない運転』を心がけましょう。
これはあらゆる免許に通じる言葉だと思います。

自分は関係ないと思っていた事業者さまが、実は建設業許可が必要だったという場合も多くございますので、もしかして・・・という思いがある方は是非ご一読ください。

許可の必要性の判断は?

  • 建築一式工事以外の許可が必要な場合で1件あたりの工事金額が500万円を超えるか否か
  • 建築一式工事の許可が必要な場合で、1件あたりの工事金額が1500万を超えるか否か
  • 工事の種類は解体工事・電気工事・浄化槽工事以外か否か

この3点をまずはご確認いただければ、必要性の可否についてはわかってくると思います。
建設業許可の中でも自分は何の許可が必要か不明という方で、500万を超える(今後超えそう)という事業者の方は次の項目をお読み頂いて判断していただくか、恐らく該当者であろうという前提で許可取得に向けてご準備を進めていただければと思います。

許可必要性の有無に大きく関わるこの500万と1500万という数字について、勘違いをされている方も多いのでここで併せてご説明させていただきます。

1件当たりの請求額(請求書の額面や振込金額等)が500万円または1500万円を超えなければ許可は必要無いんでしょ?
と言う方がたくさんいらっしゃいますが、そうではありません。

ただ請求書をわけただけで実態が1つである工事については一体のものとみなされ、合算した金額で判断されます。

また、注文者が材料を提供する場合は、その費用の市場価格及び運送費も当該工事の請負価格に合算されて計算されます。

特にこの運送費に関しては大型の機械の搬入等で相当な金額になっている場合もございますので、くれぐれも注意して確認していただく必要があります。

建設業の許可は29種類!

前項をお読み頂いてどうやら建設業の許可が必要らしいと思われた方が次に考えることは、何の許可が必要か?についての判断です。
建設業の許可の種類は2種類の一式工事と27種類の専門工事にわかれています。

詳しくは下記の図をごらんください。

この図を見て自分はどの許可が必要か、判断が出来る人とそれでもまだはっきりしない人がいらっしゃると思います。

複合的な要素が絡み合う工事を行なっている方は、自分が実際にどのような内容の工事を行なっているのか、一度しっかり書き出してみましょう。

請求書の明細はどうなっているでしょうか?
作業を行なう際に足場を組んだりしていますか?
電気配線の工事も一緒に行なう必要はありますか?

こういったことから、どの許可が必要でどの工程は付帯業務としてみなされるのか等を判断していきます。

ここをいい加減に判断して本来の業務に必要な許可がとれていなかったとなれば大問題です。
判断が難しいと思われる方は出来るだけこの段階で行政書士に相談していただくことをお勧めします。

直接管轄庁の相談窓口にご相談いただく手段もございますが、この相談の段階で緊張して変なことを口走ったり疑義を持たれる言動をした場合、そのことが申請を行なう場合に不利に働く可能性もございますのでご注意ください。

一般建設業と特定建設業とは?

取得しようと思っている許可の種類が建築一式工事の場合は1500万円以上、それ以外であれば500万円以上の金額となる場合は建設業の許可が必要ということはもう理解されていると思います。

しかし、これを大きく上回る金額の工事を下請け業者を使って行なう人は、自分が特定建設業にあてはまるかどうかを確認しなければなりません。

発注者から直接請け負う1件の元請工事について、下請人に施工させる額の合計額(税込み)が 4,000 万円以上(建築一式工事の場合は 6,000 万円以上)となる場合 は特定建設業での許可が必要です。

☆あくまでも『元請工事を行なう事業者』が対象となりますので、下請負人が孫請負人を使用する場合の金額が 4,000 万円以上(建築一式工事の場合は 6,000 万円以上)の場合での下請負人はこれに該当しません。

発注者から直接請負う請負金額(税込み)については、一般、特定に関わらず制限はありません。

☆ 発注者から直接請け負う一件の建設工事につき、元請負人が 4,000 万円(建築一式工事にあっては 6,000 万円)以上の工事を下請施工させようとする時の 4,000 万円に関しては、元請負人が提供する材料等の価格は 『 下請代金の額』に含みません。

以上の内容をお読み頂き、特定建設業に該当する場合は特定建設業での許可申請が必要となり、それ以外の一般建設業の許可とは申請に必要な内容が異なりますので十分にご注意ください。

大臣許可か知事許可か

どの許可を取るかが決まったら次は自分が申請しなければならないのは知事なのか大臣なのか?という部分について考えていきましょう。

判断はとても簡単で、ご確認いただきたいのは以下の1点だけです。

  • 2つ以上の都道府県に建設業を行なう営業所を置くか否か

例えば大阪府内だけで営業を行なうのであれば知事許可。
大阪と東京にそれぞれ営業所を置いて業務を行なうのであれば大臣許可。
というように考えていきます。

「大阪府知事許可だと大阪府内の工事しかできないのですか?」というご質問をよくいただきますが、そういうわけではありません。

大阪府内の許可を申請した営業所にて請負契約業務を行なっていただく必要はありますが、大阪で東京の工事の契約をして、東京に工事をしに行くことは問題はありません。

ただし、専任技術者が常駐してなければならない等の問題は別でありますのでご注意ください。

まとめ

許可の必要性の有無と、許可の種類、知事許可か大臣許可かのそれぞれの判断基準について書いてきました。

ここまで整理出来ればあとは許可を取得するのに必要な基準を満たしているかどうか、どうすれば満たせるようになるのかについて細かく確認していく作業となります。

それに関してはまた別の記事にて詳しく書いていきたいと思います。