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行政書士は独立できる資格なのか?

行政書士試験に合格された方で早い方はもう行政書士の開業登録を進めていると思います。
弊社でも行政書士試験合格者が出ましたので、早速使用人行政書士の登録申請を行ないました。

行政書士に興味がある人、試験には受かったけれども開業するのか就職するのかまだ検討段階の人は大いにそわそわしている時期だと思います。
最近はこういった方に向けて記事を書いていませんでしたが、先日フォーサイト様にて弊社の記事が紹介されましたので、久しぶりにこのお題に言及してみたいと思います。

フォーサイト様紹介記事⇨ 独立できる資格とは?行政書士や社会保険労務士などおすすめ4選

ご紹介いただいた弊社記事⇨ 女性の起業は大変?①

行政書士資格って就職にも使えるの?

行政書士資格を使って就職しようと思った場合、王道はやはり行政書士事務所へ就職し、使用人行政書士として登録をして仕事をすることです。

有資格者が行政書士事務所で働いていることと、行政書士事務所で行政書士として働くことの間には大きな隔たりがあります。
少なくとも将来独立開業を考えている人であれば、単に行政書士事務所で働いた経験よりも、行政書士として働いた経験を積んでおくほうが圧倒的に良いと思います。

使用人行政書士は、社員である行政書士に教育・監督されながら働くことになりますが、イチ行政書士として自分の名前で書類を作成し、提出を行なうことができます。
役所に対しても、その申請書類を作成した行政書士として対等に話をすることができます。

つまり、「資格者として依頼者様に対して責任を持って仕事をする」のがどういうことかは、行政書士として登録されてからしか経験出来ないということです。
ここの認識が間違ったまま資格者責任について知らずに開業してしまうとストレスで心を病んでしまったり、気軽に業務放棄をして懲戒になってしまう可能性がありますのでご注意ください。

他士業事務所へ就職

行政書士事務所の他にも、他士業の事務所に行政書士資格を使って就職できるケースもあります。
例えば司法書士事務所や土地家屋調査士事務所なんかは親和性が高いと言えるでしょう。

どちらの事務所にもそれぞれの専門業務の中に少しだけ行政書士の専門業務が入っていたり、行政書士の知識を融合させることでより高いサービスを提供できるようになる業務があったりするので、「事務所内に行政書士を一人雇用している」という事務所は結構あります。

他士業事務所の場合、代表含め使用人資格者の中にも行政書士試験に合格している人は居るけれども、本業が忙しいのでわざわざ行政書士業務を勉強するよりは出来る人を雇った方が早いと考える経営者もいるということです。

一般企業へ就職

一般企業の中でも営業許可が必要とされる業種では、行政書士資格を持っているということが優遇されるケースがあります。
わかりやすい業界で言えば建設業でしょう。

建設業許可事業者さまは、日々の業務の中で多種多様な書類が発生します。
しかもそれらは「建設業法に則って作成されていること」が前提となっています。
建設業の現場で働く人にとって建設業法を勉強している時間はありませんし、一般事務の経験がある方でも、建設業法を知っている人の方が少ないです。

事業規模の大きな会社さんであれば、許可の安全性を高めるために誰よりも業法を勉強して書類を整備する役割の人を社内に設置しているケースは多いです。
行政書士として仕事をするわけではありませんが、こういった働き方も一つの方法としてあるということです。

行政書士で開業する!

就職の話はもういい、私は開業するために行政書士の資格をとったんだ!という方もたくさんいらっしゃると思います。
とはいえ、今の仕事を辞めて開業するというのは人生を大きく変える決断なので二の足を踏んでしまうのも致し方ないことです。

行政書士は独立できる資格だから開業したらバラ色の人生が待ってるよ!なんて無責任なことは言いません。
どんな職種でも同じです。
行政書士資格があるからといって開業してやっていける保証なんてどこにもありません。

ただ、国家資格取得が必須という参入障壁があったり、士業という社会的信頼があること、ほぼ体一つで始められてしまう必要開業資金の低さを考えると、一般事業での起業よりはハードルが低いことは間違いないでしょう。

私は開業して10年経ちますが、未だに毎日が勉強の日々です。
ですが、レベルアップしていく楽しみや、努力して得た知識によってお客様の利益に寄与することができる喜びは何にも代えがたく、日々楽しく働くことができていることも事実です。

秘書的な役割としての行政書士

行政書士として開業したら、行政書士の専門業務だけに従事しなければならない!ということではありません。
最近時々見かけるようになったのは、外部秘書的な行政書士として顧問契約を取るという働き方です。

行政書士の顧問契約といえば許可に関するコンサル業務が王道ですが、行政書士に向いている人は実は秘書(右腕)能力がめちゃくちゃ高いんじゃないかということに世の中の社長さんは気づき始めているようです。

行政書士(としての能力が高い人)は、書類を読み解く能力が高く、文章作成能力も高い。
コンプライアンスに関する知識も履修済みで、各所と調整折衝を行なうことへの経験値が高い。
つまり、右腕としてあらゆる「アレ、調べといて」「アレ、うまいこと連絡しといて」という社長さんにとっては面倒な「アレ」を社長さんの望むとおりに遂行することが出来る(人もいる)んですね。

私も現在株式会社で役員をしていますが、やはり担当は総務関係です。
企業の事業を円滑に進めるために何を準備し、どんな書類を作成し、どの役所とどのように折衝するか、というのは日々の許認可業務で鍛え上げられた筋肉であるため、勝手に体が動く、気づいたらアレコレ提案してしまっている感じですw

さいごに

今は多様な働き方が認められる時代です。
そして、行政書士も多様化しています。
王道を進むもよし、新たな道を拓くもよし、自分がどんな経営者になりたいのか、どんな行政書士になりたいのかを突き詰めて考えましょう。

その上で必要な努力を適量重ね続ける事ができるのであれば、そうそう大失敗ということにはならないのではないでしょうか。