事業継続力強化計画にかかる認定がおりました。詳しくはこちら

古物商の三大義務

古物商の営業許可を無事に取得して、さぁこれで商売を始められるぞ!と思った方、ちょっとまってください。

古物商の三大義務についてご存知でしょうか?
もしあなたが古物商の三大義務は?と問われてすぐに答えられない状態であれば、安心安全に古物商を行える状態ではない可能性があります。

まずはこの記事をよく読んで、古物営業法の中でも特に大切なこの三大義務についてしっかり習得しましょう!

なぜ義務があるのか?

そもそもなぜ古物商事業者に特別な義務が課されているのかが納得できないと勉強しようという気にもなれないと思います。
まずはなぜ古物商事業者に三大義務が課されているか?について知っていきましょう。

古物商が行なう商売の形態をごくごく簡単に説明すると、古物を買い受け、古物を販売することです。
では古物はどのようにして生まれるのか?

使おうと思って買ったけど使わなかったから売った、プレゼントでもらったけど同じものを持ってるから1つ売った、大切に使ってたからまだ綺麗だし捨てるのはもったいないから売った。
おおよそこのような道のりを辿って物は『商品』から『古物』となります。

しかし可哀想なことに、この正規ルートを辿らずに古物になってしまう商品がいます。
いわゆる盗品と呼ばれるものです。
盗品の怖いところは、その『モノ』を見ただけではそれが盗品なのか商品なのか判別がつかないところにあります。

盗んで仕入れたものでも、古物商で買い受けされれば商品となって現金化されてしまうのです。
古物商に求められる三大義務はこれらの犯罪抑止のために大変重要で必要な項目となっています。
自分の身を守るためにも、商売を守っていくためにも大切なことなのです。

相手方の確認義務

三大義務の1つめは、相手方の確認義務です。
まずは根拠法令を見てみましょう。

古物営業法第15条第1項
古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとするときは、相手方の真偽を確認するため、次の各号のいずれかに掲げる措置をとらなければならない。

一 相手方の住所、氏名、職業及び年齢を確認すること。
二 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢が記載された文書(その者の署名のあるものに限る。)の交付を受けること。

ごく簡単な言葉に直しますと、「古物商は、買い取り行為等を行なう時は、その相手が嘘をついていないかしっかり確認してくださいね!」ということです。

盗品を持ち込もうとしている犯罪者であれば、偽名を使ったり嘘の住所を書いたりして身分を偽ろうとする可能性が高いので、本人の言ったことだけを鵜呑みにするのではなく、公的書類を用いて身分証明を受けなければなりません。
具体的には以下の3つの方法が定められています。
  1. 自動車運転免許証等の身分証明書の提示を受ける
  2. 住所・氏名・職業・年齢を記載した署名文書の交付を受ける
  3. 非対面取引における古物商の確認措置をとる
古物営業法としては、この3つの中のいずれかの方法を行えば良いとされていますが、実態としては②の方法だけで取引を行なっているお店を私は見たことがありません。
①と②の複合確認が出来る場合にのみ買い取りを行なっているところがほとんどではないでしょうか。
 
帳簿に直筆で②の内容を記載させ、その間に免許証等を受け取って確認し、帳簿に免許証ナンバー等を書き込んだりする方法で確認を行なうのが一般的です。
 
③の非対面取引については、いわゆるインターネットを介して古物商売買を行なう際を想定しており、直接面談せずに行なう本人確認の方法が詳細に定められています。
 
非対面取引については別記事にて解説しますのでここでは割愛いたします。
 
 

不正品等の申告義務

三大義務の2つ目は不正品等の申告義務です。

こちらも根拠法定を確認してみましょう。

古物営業法第15条第3項
古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとする場合において、当該古物について不正品の疑いがあると認めるときは、直ちに、警察官にその旨を申告しなければならない。

ざっくり簡単に直しますと、「この古物怪しいかも?って思ったらすぐに警察に連絡してね!」ということです。

先にも述べましたが、『モノ』を見ただけでそれがすぐ盗品だ!等とわかる人はいないと思います。
そのため、盗品だと確信出来てから連絡するのではなく、怪しいなと思った段階ですぐに連絡するということが義務付けされています。

モノ自体が怪しい時もですが、持ち込みしてきた人が怪しい時も当然連絡対象です。
例えばこんなわかりやすい事例はないと思いますが、金券やカード類を大量に持ち込みしてきて身分証明書の提示を嫌がる場合等があれば連絡案件でしょう。

連絡をするのはその営業所を管轄する警察署になりますので、自分のお店の管轄警察署の電話番号はわかりやすい位置に掲示しておくと良いでしょう。

疑わしいなぁと思いながら、面倒だったり大事にしたくない等の理由で警察への連絡を怠った場合、営業停止等の行政処分の対象となる可能性があります。

また、盗品だとわかっていながら通報をせずに買い取り行為を行なった場合、盗品等有償譲受罪に問われることになります。
10年以下の懲役及び50万円以下の罰金という重い犯罪となりますのでくれぐれもご注意ください。

帳簿等への記載義務

三大義務最後の3つ目は帳簿等への記載義務です。

こちらは根拠法令が16条と17条にかけてあるので少し長いですが一緒に見ていきましょう。

古物営業法第16条
古物商は、売買若しくは交換のため、又は売買若しくは交換の委託により、古物を受け取り、又は引き渡したときは、その都度、次に掲げる事項を、帳簿若しくは国家公安委員会規則で定めるこれに準ずる書類(以下「帳簿等」という。)に記載をし、又は電磁的方法により記録をしておかなければならない。ただし、前条第二項各号に掲げる場合及び当該記載又は記録の必要のないものとして国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した場合は、この限りでない。

一 取引の年月日
二 古物の品目及び数量
三 古物の特徴
四 相手方(国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した相手方を除く。)の住所、氏名、職業及び年齢
五 前条第一項の規定によりとつた措置の区分(同項第一号及び第四号に掲げる措置にあつては、その区分及び方法)
第十七条 古物市場主は、その古物市場において売買され、又は交換される古物につき、取引の都度、前条第一号から第三号までに規定する事項並びに取引の当事者の住所及び氏名を帳簿等に記載をし、又は電磁的方法により記録をしておかなければならない。

簡単に言えば、「古物商が売買等を行なう時は、決められた方法で、決められた内容を帳簿に記載してくださいね!」という内容です。

決められた内容というのは以下の通りです。
  1. 取引した日付
  2. 古物の品目と数
  3. 古物の特徴
  4. 相手方の住所・氏名・年齢・職業
  5. どの方法で身分を確認したか

これらの内容をいわゆる『古物台帳』と呼ばれるものに記載して保管しておく義務があります。
古物台帳は商標とともに防犯協会等で販売されているものを使用しても良いですし、任意の形式で作成し、エクセル等を使用した電磁的保存でも良いとされています。

検索や保管の都合からいっても最初にエクセルで表を作成してしまって、それに記載していく方が圧倒的に楽だと思いますが、「ただちに書面に表示することができる状態で記載した日から3年間保存」というルールがあります。

台帳を入れていたパソコンが壊れて見れなくなった、等ということがないようくれぐれもデータの取扱にはお気をつけください。

まとめ

『相手方の確認』『不正品等の申告』『帳簿等への記載』

いずれも三大義務!なんて大層に言うほど難しいことは何もなく、自分と自分の商売を守るためにも必要な項目だけだったと思います。

事業者の皆様にはしっかりとルールを守って、安心安全な古物商ライフを楽しんでいただきたいと思います。