事業継続力強化計画にかかる認定がおりました。詳しくはこちら

片付け屋さんをするためには。

近頃、遺品回収業などのお片付け屋さんが多くみられるようになりました。

弊所にも「片付け屋をしたいんだけどどうすればいいですか?」というご相談がここ数年多く寄せられています。

今日は適法に片付け屋さんをするためにはどうすれば良いのか?について解説していきたいと思います。

必要な許可は何??

どのようなビジネスモデルなのかによって当然必要な許可は変わってくるのですが、片付け屋さんをするならまず必要となる可能性が高い許認可である下記の3つに絞って簡単に解説していきたいと思います。

  1. 一般廃棄物収集運搬業
  2. 産業廃棄物収集運搬業
  3. 古物商

この3つ(またはいずれか)を取っていれば大丈夫ということではなく、『どんな片付け屋さんをしたいのか?』によって必要な許可は変わってきますので、実際に事業を始める前に許認可に精通した行政書士か、管轄の市町村に相談するようにしましょう。

まずはそれぞれの許可について、どのような時に必要になるのかをわかりやすさを重視してざ~っくりと解説していきたいと思います。

一般廃棄物収集運搬業の許可

一般廃棄物収集運搬の許可がどういう時に必要になるかというと、ごみの持ち主(排出者)から依頼を受けて一般ごみを処理場へ捨てに行くことを業とする場合です。

一般廃棄物収集運搬の許可は管轄の市区町村に申請します。
許可を受けた市以外へごみを運ぶことは認められませんので、例えば大阪市で許可を受けた場合は、大阪市内の一般ごみを大阪市の処理場に運ぶことになります。

例えばごみ屋敷の住人が自宅を片付ける決意をしたけど、日々のごみ捨てで捨てられるようなごみの量じゃないから業者に来てもらおうとなった時に、このごみを収集して処理場に代わりに運んであげようとする場合、一般廃棄物収集運搬業の許可がなければ報酬を得ることは出来ません。

ボランティアでごみ屋敷バスターズを行なう場合には、本人の同意を得て無償で一般ごみを運ぶお手伝いをする限りでは営業許可の取得は恐らく求められないと思いますが、何度も大量のゴミを処理場に運び込んでいたら問題になる可能性がありますので、一度管轄の市区町村に相談をしておいた方がいいでしょう。

一般廃棄物処理業に関しては各市町村長の裁量がとても大きく、許可業者数を制限してごみの減量を推進している市町村もあったりするので、残念ながら許可を取りたくても取れない場合があります。
例えば大阪市では一般廃棄物処理業の新規許可は現在受け付けておらず、現時点では今後受け付けるようになる予定もないとのことです。

先に触れたとおり、一般廃棄物は別の市町村に運び出すことは認められていないので、一般廃棄物処理業を行ないたい場合はまずはその事業を行ないたい市町村が新規許可を出してくれる状態であるかどうかを確認し、大丈夫だとなってから会社や営業所を設置するようにしましょう。

産業廃棄物収集運搬業の許可

報酬を得ていわゆる産業廃棄物とされているごみを収集してごみ処理施設まで運搬する場合、産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。

これは、事業を行なう各都道府県にてそれぞれ許可を得る必要があります。

例えば、大阪府内で出た産業廃棄物を大阪府内のゴミ処理施設まで運ぶ場合は大阪府知事免許だけが必要ですが、兵庫県で出たゴミを大阪府内の処理場に持ってくるときは兵庫県の県知事許可も必要になるという事です。

大阪ゴミ→大阪処理場・・・大阪許可
兵庫ゴミ→大阪処理場・・・兵庫許可と大阪許可
大阪ゴミ→大阪処理場/兵庫ゴミ→兵庫処理場・・・大阪許可と兵庫許可

というような形で、近畿全域を商圏とする場合は近畿全域からゴミを集めることになるのでその全ての府県において新規許可を取得する必要があり、それぞれの府県に登録免許税の8万1千円を納めなくてはなりません。

免許税だけでも馬鹿にならない数字なので、産業廃棄物を収集運搬しようと考えている場合は、事前に商圏の範囲をしっかり計画するようにしましょう。

古物商の許可

報酬を得て集めたゴミ(古物)の中から使えるものを販売したり、分解してそのパーツの1部を販売したりするような場合には古物商の許可が必要となります。

例えば、「必要なものは既に運び出しているので残っているものは全て処分してください、処分方法は一任します」と持ち主から依頼を受けて報酬を得て一般家庭の片付けをする場合で、片付けに入って見ると中にはまだ使える家電製品や、箱から出してもいない贈答品が置いてあったとします。

こういった場合にもし古物商の許可を持っていれば、処分方法は一任されているのでこれらをそのままゴミとして処分場に持って行くことも出来ますし、古物として販売するという選択肢も持てるようになるということです。

収集運搬業に対して報酬を得ているのでゴミ(古物)を買い取ったわけではないから古物商許可は不要じゃないの?というご意見も稀にいただきます。
古物商営業に当たるかどうかの判断はその品物と手段によってそれぞれに判断されますので、方法によっては不要な場合もあると思います。

しかし、勝手に判断してもし必要であった場合に罪に問われるのは事業者さまご本人なので、不要と思われる場合は管轄する警察署に直接相談に行って、本当に許可をとらなくて大丈夫かどうかをご確認いただくのがベストだと思います。

古物商許可アリ→ゴミとして処分・・・〇 / 販売・・・〇
古物商許可ナシ→ゴミとして処分するしかない/販売すると古物営業法違反で三年以下の懲役または百万円以下の罰金

古物商許可について詳しく知りたい方はこちらの記事も合わせてお読みください⇒『 どんな時に古物商の許可が必要か? 』

個人的には古物商の許可は一度取得してしまうとその後は変更届等の適正な手続きさえ怠らなければずっと使える許可ですし、登録免許税も19,000円とお手頃価格なので片付け屋さんをするなら工夫次第で色んな使いみちもあるし取っておいて損をすることはないんじゃないかと相談者様にはお伝えしています。

一般廃棄物と産業廃棄物の違いを理解していますか?

ところで、一般廃棄物と産業廃棄物の違いって何かご存知でしょうか?
家庭ごみか産業ごみかってことでしょ?と思われた方、では、家庭ごみと産業ごみの違いって何だと思いますか?

適正に事業を進めるためには、自分が運ぼうとしているものや事業モデルが一般廃棄物に該当するのか産業廃棄物に該当するのかはそもそも必要な許可も変わってきますし、誤って自分の許可の範囲を踏み越えてしまわないためにもしっかり理解しておくことが必要です。

その依頼内容が一般廃棄物にあたるのか産業廃棄物にあたるのかについては個別案件毎に細かく判断していくべきことなのですが、わかりやすいようにざっくりとした考え方を書いておきます。

一般廃棄物とは、産業廃棄物以外のごみ全てを指します。
これだけだとわかりにくいので、一般家庭の日常生活において発生する廃棄物を『家庭系一般廃棄物』、事業所や店舗などから排出される産業廃棄物以外の廃棄物を『事業系一般廃棄物』と区分しています。

産業廃棄物は、事業活動に伴って排出される特定の種類のごみを指します。
特定の種類のごみというのは、廃プラスチック類・がれき類・ばいじん等々全部で20種類あるのですが、ごみの種類と排出事業者が何かによって産業廃棄物になるか事業系一般廃棄物となるかに分かれます。

このごみはどっちだ?と判断に迷った場合は、『ごみの種類』と『排出事業者は何か』を確認して、分別を間違えることの無いように気を付けましょう。

適正に事業を行なうためはもちろんのこと、リサイクルの観点においても、全ては適正な分別から始まります。
地球にも優しいお片付け屋さんになってくれる事業者さまを行政書士法人つむぎでは支援しています。