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『依頼者の利益に資する』を考える①

最近他士業の方と交流させていただく機会が増え、他の士業の先生方がどのように業務を遂行していらっしゃるのかをしっかりと勉強させていただくに従い、士業が細分化されているこの国で、その一端を担う者の一人として、『依頼者の利益に資する行政書士であるにはどうあるべきか』という事を改めて考えるようになりました。

もともと私の基本姿勢として、 士業はサービス業である ということと、 士業は自営業者である という考え方があり、そこに関してはブレはありませんので基本的にこの2つの考え方を主軸として、本題内容について書いていきたいと思います。

 

行政書士に求められる業務とは?

まず、職業として成り立つための必要な要素の1つとして、求められている業務であることが大切だと考えます。

一般的な士業の解釈をものすごくシンプルに書くと下記のようになるかと思います。

弁護士→裁判に必要な人  司法書士→登記してくれる人  税理士→税金のことを教えてくれる人

社労士→労務問題を解決してくれる人  行政書士→許認可をとる人?

行政書士に「?」をつけたのは、この認識が一般的ではないと私は思うからです。

許認可が関係する業界にいらっしゃる方は概ねこの認識をいただいていますが、そうでない方は、「行政書士ってよくわかんないけどなんか法律関係の人だからそんな関係のことを相談できるのよね?」ぐらいの認識だと思います。

実際に行政書士って何する人?って受験生時代からもう何百回ではきかないくらい質問されていますから。。。

 

行政書士は許認可に関しては専門業務でありエキスパートではありますが、許認可をとるだけの人ではないですし、もちろん法務相談も行ないます。

弁護士さんに相談するのはハードルが高いという時に、気軽に相談できるツールとしては一番行政書士が適しているのではないかとの自負もあります。

だからこそ私はいつも業際は絶対厳守すべきだと言っています。

 

業際問題について

お困りごとがあってご相談をいただいた時に、行政書士で解決できることもあります。ですが、行政書士では解決できないことも必ずあります。

その時にしっかりと「これは行政書士では解決できない問題ですので○○士さんにご相談される事をお勧めします」と言える人間で無ければならないと思うのです。

それが相談者様に対する誠意であり、相談者様の利益に資することであると私は考えるからです。

 

例えば相続の問題があった時にご相談を受けるのはもちろん可能ですし、必要な手続きを代行することもできます。ですが、争いのある場合には弁護士さんにお願いしなくてはなりませんよと事前にお伝えします。

行政書士は遺産分割協議書の作成は出来ますが、ハンコを押してくれない相続人に対して依頼者の代わりにハンコを押すように説得に伺うことは出来ませんので、予めそういった場面が予見出来ていた場合、それをお伝えせずに協議書の作成を受任して報酬を頂いておいて、その協議書そのものがご破算になっては依頼者にとってはなんの意味もありませんよね?

そういった「可能性」のお話を事前にお伝えした上で選択いただくのが法務家としての正しい姿だと思います。

最後まで責任をとってあげられない以上は、そこを事前にお伝えしないのは依頼者目線で見れば瑕疵ある契約ではないでしょうか?「プロなんだからわかっていたことだろ!」と非難されても仕方がないのかなと。

「ここまでは出来ますがここからは○○士さんのお仕事です。必要であればご紹介いたします。」

わかりやすくこの線引きを説明すればいいだけの事なら、それはこちらですべき当然の努力です。

 

トラブルのご相談を受けた時に、乗りかかった船だから、無報酬で内容証明だけ作ってあげるよと言って安易に内容証明を送り、争いが発展したらこれ以上は無理~、無報酬でやった事だから責任ありません~と言うのは本当に依頼者のためになることですか?というのをしっかり考えてほしいと思うのです。

裁判まで発展したとしても、最後までその依頼者と向き合い、非弁行為で資格を失う事も恐れずに無報酬でお手伝いを続けるんだ!という人はそうすればいいと思いますが、私はその責任の取り方は違うと思っているので絶対にしませんよという話です(^^;

 

次回、『依頼者の利益に資する』を考える②では相談業務について書いてみたいと思います。

決して私は、行政書士は民事をやるな!許認可だけやってろ!なんてことを思っているわけではありません。

行政書士としての民事業務や相談業務との向き合い方があるのではないかと考えているだけです。

そしてこの業務については自営業であるという部分が大きく関わってくる事なのかなと痛感している部分でもありますので、そこについても出来る範囲で書いていけたらと思います。