『依頼者の利益に資する』を考える②

前回の、 『依頼者の利益に資する』を考える① の続きです。今回は相談業務との向き合い方について今の私が思っているところ、実行している事について書いていきたいと思います。

まず大前提として、行政書士は争いのある問題に対して立ち入ることは出来ません。なのに相談を業務として請ける事は出来る。

この不思議な現象が知らず知らずの内に業際を踏み越えるというトラブルを起こしたり、相談者さまに強く頼まれて断りきれずに非弁行為を行なってしまう者が現れる原因なのだと思います。

 

行政書士が相談業務を行なう意義とは?

相談というのはそもそも、日常生活の中で困った事が起こった時に初めて発生するものですよね。

親が亡くなりそうだけれど我が家の相続ってどうなるの、とか、夫が生活費をいれてくれなくて困っている、等、状況は様々あれど、ほとんどの場合がトラブルにまつわるものです。

だったら困ったことなんて行政書士に相談しても無駄じゃん!とのお声が聞こえそうですが、これがそうでもないのです。

例えば相続や離婚に関して、相談者さまの場合はどうなるのかをシミュレーションしてお伝えすることが出来ます。しっかりとお話を伺った上で当事者間に争いがあるのかどうかを判断し、相談者さまがどのような選択が出来るのかという可能性を提示します。

その上で必要な手続きについてのご案内をさせていただけます。複雑な手続きに関する事は行政書士が最も得意とする分野なんですね。

この部分に関して我々行政書士は、プロとして責任をもって相談者さまのお力になることができます。

もちろん争いがあると判断された場合には、弁護士さんへのご相談をお勧めさせていただきますし、内容によっては司法書士さんへのご相談という選択肢も出てきます。

この一次的な切り分けというのが行政書士が担うべき相談業務なのではないかと私は考えるのです。

 

 

気軽な受付窓口としての行政書士

困ったことが起こって、法律関係だからきっと弁護士さんのところに行けば間違いないんだろうけど、裁判とかするわけでもないし、何よりそんな高額な報酬を支払うほどのゆとりは無いから本当に切羽詰るまで相談に行くのはやめとこう。。。というのはよくある話で、この内容なら○○士に相談だ!という発想は難しいですよね。

・そもそもこの問題はどこに相談したらいいのか
・今すぐどうこうってわけじゃないんだけど不安で
・ちょっとこの部分が知りたいだけなんだけど
・この書類をどうやって書いたらいいのかわからないけど聞く相手なんていないし

こんな時に、デパートの総合受付のようなものと思って行政書士を思い出してほしいのです。どんなお話しの内容であっても、相談者さまにとって適切なところへご案内させて頂きます。

安心して気軽に相談できるのが行政書士の良さであると思うので、その部分をもっと知ってもらいたく、私も月に一度ではありますが無料相談会を開催したりしています。

(興味を持たれた方は、相談会の様子はぜひコチラをご参照ください)

 

 

最後に

冒頭から『相談業務』と書いてきましたが、行政書士にとって相談業務というのは業務には成りえないのではないかという思いが私にはあります。

気軽に相談できるのが行政書士の良さであるならば、そこに高額な費用が発生しては相談者さまはご利用が難しくなると思いますし、そもそも高額な報酬を支払える方は迷わず弁護士の先生へご相談される事でしょう。

そうすることが出来ない方に対して、手を差し伸べるのが行政書士の役割であるならば本来相談業務は無料で行なうべきものなのだと思います。しかし、弊事務所では通常時、時間無制限ではありますが相談料として5000円を頂いております。

これは、そうしなくては他の業務が行えず、業務が行なえなくては事務所の運営が出来なくなってしまうからです。

私だけではなく、この職業を選んだ人間は皆一様に、『誰かの暮らしをよくするお手伝いがしたい』という気持ちを持っていると思います。

しかし、それにはまず自分がしっかり継続して立ち続けていられる体制作りが必要です。継続して続ける事が出来なければ、それはその場しのぎにしかならない行為で解決行動にはならないのではないかと私は福祉の現場にて考えるに至りました。

その中で、今の私にも継続して出来ること、普段の業務の中ではお手伝い出来ない人に少しでも手が届く事をやろう。そういう想いで、同じ信念を共有出来るパートナーを見つける事が叶い、無料相談会を開催するに至りました。

限られた時間、限られた場所でのことです。まだまだ私が手を伸ばせる範囲は小さくて申し訳ない気持ちもありますが、何もやらずに終わってしまうよりは出来る事から少しずつでもと思って活動しています。