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『行政書士3年以内に廃業説』について語る③

2、豆腐メンタル型

このタイプもタイトルそのままなのですが、メンタルが弱かったり、ストレス耐性があまり無い方を指しています。

最初から自分はメンタルが弱いという自覚のある方はそもそも開業なんて道は選ばないと思うのですが、根本的に無自覚な場合や、基本的にはメンタルは強いけれども特定の事柄に対してはストレス耐性が無かったという場合には気付かずに開業してしまうことがあります。

頭が良くて挫折経験が無い方や、人当たりが良くて誰とでも仲良くなれる方などに多く見られます。

 

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友人や親戚、仲の良い先輩等に相談してみんなのサポートを受け、知り合いの不動産屋さんから安く事務所を借りて開業したBさん。開業案内を出したらみんながお花を送ってくれたり、事務所に遊びに来てくれたりして、順風満帆なすべりだしでした。

先輩の1人が友人を紹介してくれ、仕事で使う営業許可をとって欲しいとのご相談をうけました。来月からその仕事はスタートするのでとにかく急いで欲しいとのことで、要件を調べてみたら申請が受理されてからの標準待機期間は60日もありました。そこで、どれだけ急いでも2ヶ月はかかりますとお伝えしましたが、どこに頼んでもその2ヶ月は変わらないのなら同じことだからBさんに依頼すると言っていただき、引き受けることにしました。

Bさんはとにかく急がなくてはと思い、書類を作成して申請に行きましたが受理してもらえず、窓口で職員さんに追い返されてしまいました。受理されない理由はなんとか職員さんに教えてもらえたものの、どう直せばいいのかは教えてくれません。行政書士会に連絡しても無料相談の日程は決まっており、しかも一般の方が優先なので該当日に相談に行っても行政書士には時間が回ってこない場合もあると言われてしまいました。

どうしようかと困っていると依頼者から電話があり、「申請は終わりましたか?」と催促され、正直に受理されなかったことを伝えて謝り、今週中に必ず申請いたしますと約束しました。行政書士会がダメなら同じ支部の先輩に助言をもらえないかと思い立ったBさんは名簿を見て片端から電話をかけましたが、取り合ってもらえないか、管轄業務ではないと断られるばかりで困り果ててしまいました。そんな時に、ある行政書士から声をかけられました。

業務を引き継いでくれると言ってくれるその行政書士の報酬は、Bさんが依頼者からいただく予定の報酬よりも金額が高く、自腹をきることになるので悩んでいましたが、今回の業務のことを教えてくれるというので勉強料だと思って払うことにしました。これで一安心と思ったBさんは、週末にかかってきた依頼者からの電話に無事に申請は行ないましたとお伝えし、2ヶ月お待ちいただくようにお願いしました。

その翌週、業務のことを教わりに行政書士の事務所を訪れると、お渡ししていた依頼者の書類がそのままおいてありました。どういうことかと伺うと、この事務所では申請は毎月最終週にまとめて行なうことにしているとのこと。それでは2週間以上も先になってしまうので、書類が出来ているなら自分で今すぐ申請に行くので渡して欲しいと頼んだら内容をわかっていない者が申請に行っても受理されないので無駄だと言われ、それなら急いで行って欲しいと頼むと、規定期日外に申請を行なう場合は特別料金がかかると言われ、仕方なくそれも支払って今週中に行ってもらうことにし、確実に申請を行なったか確認するために申請日は同行もさせてもらいました。

そうしてなんとか申請を終えてしばらく経った頃、依頼者からまた電話がありました。「申請したって日から2ヶ月経ったけど許可証はまだですか?もう来週から行けると取引先に伝えてあるので今週中に許可証が届かなければ損害が発生する」とのことです。依頼者にお伝えした期日と実際に申請が受理された日では最低でも1週間の開きがあります。Bさんはまさかその1週間で許可証が届いてもいないのに依頼者が事業を進めているなんて考えもしなかったのです。

紹介者の先輩に間に立ってもらって、許可証が届くまでの損害に対する賠償を営業許可の報酬を0円とすることでなんとか話をつけてもらいました。しかし行政書士に外注したのでその分の報酬と、規定日以外の申請による特別料金の支払はしなければなりません。手痛い勉強料となってしまい、Bさんはそれ以来、怖くて営業許可の仕事を引き受けることが出来なくなってしまいました。

そして。。。。。。

 

これも前回同様、特定の誰かの話ではなく、よく聞くトラブルを平均的な形に落とし込んで事例とさせていただきました。

豆腐メンタル型の人の場合は他にも、1人で仕事を請けるのが怖くて他の行政書士に仕事を流して自分は無報酬で手伝いをしながら勉強するという流れから抜け出せずに財源がパンクし、依頼者もその行政書士にとられてしまうという、いわゆる『ひよこ狩り』で潰れてしまうパターンも多々見られます。

行政書士は人の権利義務を扱う仕事なので、特に法人業務を扱う場合はそれに掛かる金額に比例して責任ストレスも大きく圧し掛かります。

全ての責任を負う立場であるということのストレスは実際に経験してみなければ耐性があるかどうかはわからない部分だと思いますので、開業を考えている方は一度そういったシチュエーションのシミュレーションをしてみてはいかがでしょうか?